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「捕まえた」
「な、んで……剣っ、」
「こんなんじゃ俺は殺せねぇよ」

体を覆うように抱きしめられ、耳元で男の声がする。

「剣、離せ?」

ん?と小さな子供を優しく諭すような声で言われたが、ユウは落ち着くどころか得体のしれないモノと対峙する恐怖に震えた。
ガシャンと剣が床に落ち、男が靴の踵で剣を除ける。そして、未だナイフを構えているリンクと、やってきた衛兵達に向かって挑発的な目を向けた。

「攻撃してみろよ、俺は丸腰だ。だけど、当たるのは、俺じゃなくてお前らの大切な王女様だぜ?」
「何だと?!」

衛兵の一人が槍を構えるが、リンクが慌てて衛兵を止める。

「あの男、妖術使いだ。ナイフが通り抜けた」
「何と、」

衛兵たちが何もできないのを確認し、男は自分の腕の中で震えるユウに目を向ける。

「この城の兵士は使えねぇな?王女様」
「ふ、ふざけ、」
「王女様が大切だったら、食い物と飲み物持ってこい。変なことは考えるなよ?王女様に毒見させるからな」

兵士達が顔を見合わせ、数人が悔しそうに顔を歪めていなくなる。

「さ、てと…飯が来るまで、ちょっと遊ばせてもらうか」

そう言うと、男はくるっと体の向きを変えてユウをベッドに押し倒し、ユウの両手を頭上で重ねさせ、片手で押さえつけた。

「貴様っ、王女から手を離せ!」

兵士が再び槍を構えるが、それ以上何もできないことを知っている男は片手で器用にユウの寝衣の腰紐を解き、寝衣を肌蹴させた。月明かりが照らすユウの肌の白さに、男が口笛を吹く。
体を舐めまわすように見られるのが恥ずかしくて身じろぎするユウだったが、男が胸の上に手を当てると、恐怖に動けなくなった。男の指が、ユウの体内に入り込んでいたのだ。

「恥ずかしがんなよ。さっきあんなの見られたんだ」

そのままずぶっと男の手がユウの体内に入り込み、何かを掴んだ。

「あ、あぁ…」
「心臓、掴まれるのってどんな気分?」

喋るのと同時に男が掴んでいるユウの心臓を少しだけ揺らす。ユウの口から引き攣った声が漏れると、男はユウの耳元で囁いた。

「これから、自由にしてやる。ああ、言っとくけど解放ってわけじゃないぜ?言うこときけ。良いな?逃げようとか、変な真似したら…」

ユウが小さく頷くと、男はユウの手と心臓を離し、一端ユウから離れた。だが、ユウがほっとする間もなく、ユウに両手で足を抱えて開くように命令する。
何をされるのかわからない恐怖と屈辱で心が揺れるが、結局まだ幼いユウには恐怖の方が強かった。男の言うとおりに自由になった足を抱えあげ、男に向かって足を開く。 悔しさで流れた涙は男の指に拭われた。

男は自分の懐に手を入れると、巾着を取りだした。

「おい、お前ら、向こう向け」

巾着の口を開け、中身を取り出そうとした男だったが、リンクと兵士達が自分とユウを見ていることに気付き、顎を使いつつ命令する。
全員背を向けたのを確認すると、男はユウに見せつけるように巾着の中から小さな瓶を摘み出し、ユウの目の前で揺らして見せた。

「毒、」
「んな危ねぇもんじゃねぇよ。気持ちいいやつ」

蓋を開けたかと思うと、男はその小さな瓶を手で包み、その手を先程したようにユウの中へ侵入させる。手はすぐにユウの中から出てきたが、その手は瓶を握っていなかった。

「動くなよ?動いたら瓶が倒れる」

体内に瓶を置いてこられたのだと知り、ユウの顔が真っ青になる。だが、瓶が倒れて中身が毀れたらと思うと、怖くて文句も言えない。
さらに男は巾着から様々な大きさのガラス玉を取りだし、ベッドにジャラッと転がした。

「小さいのから行くか」

男が小さなガラス玉をつまみ、ユウに見せる。手を左右に動かしてユウがそのガラス玉の行方に注目しているのを確認すると、ガラス玉を持っていない方の手でユウの性器を掴み、ガラス玉を持っている手を性器に当てた。

何を、と聞くまでもない。

男の指がすっと性器に沈み、男の指が出てきたと同時に尿道の真ん中あたりに異物の痛みを感じた。

「ひぎっ、」

痛みに耐えられず声を出すと、兵士達が振り向こうとする。だが、それは男に制止され、さらに男は、今のガラス玉よりも少し大きなガラス玉を手に取った。

「いくつ、入るかな?」
「や、だ……ぃっ!」

再び尿道に痛みが走る。
男はひとつ入れるごとに入れるガラス玉のサイズを大きくしていき、徐々に大きくなる悲鳴を楽しんでいるようだ。 男はガラス玉を入れる際は少しずつ大きくと拘っているようだが、性器内のガラス玉の順番には拘っていないようで、ユウの性器は凸凹と膨れている。

「これで、最後だ」

男が見せたガラス玉はひとつ前に入れたガラス玉の比ではないくらい大きく、それを性器の先端に当てたのを見て入るわけがないと必死で首を振る。鈴口からは青色のガラス玉がのぞいているのだ。 もう、余裕なんてない。
だが、男が止めてくれるわけもなく……

「――――!!!」

ずぶずぶとガラス玉が奥へ動いていくのを感じ、そして、先端の痛みに声にならない声を上げる。

その時だった。

「キキッ!」

一匹の仔猿が兵士とリンクの足の間を擦りぬけ、部屋に入ってきた。

「ラウ・シーミン!ゴー!王女は傷つけるな!」

女の声とともに猿が変態し、巨大な化け物猿へと姿を変え、男の体を掴んで男を壁に叩きつけた。透過しない。

「王女!」

リンクが茫然としているユウの手を掴み、ユウの寝衣を手早く整えて抱え上げる。体の中で瓶が倒れ、液体がこぼれたのを感じたが、これと言って痛みはなかった。

「王女、あいつに何を、」
「な、んでもない…」

寝衣を整えた際に気付かなかったのだろう。
リンクの問いに何でもないと答え、兵士達の間から猿、ラウ・シーミンに押さえつけられた男を見る。壁に叩きつけられた際に結び目が解けたのか、男の顔を覆っていた布が取れて、男の顔が露わになっていた。

「…っ、」

頭を打ったらしく、男は抵抗する様子がない。

「全く、警備から戻ってきてみれば……」
「助かりました、クラウド将軍」
「構わない。ラウ・シーミン、男を特別牢に連れて行け。私は王に連絡する」
「殺さないのですか?」

王女を襲ったのに、と兵士が眉を潜める中、クラウドはじっと男を見た。

「この男、隣国の指名手配犯だったはずだ。隣国の大使に顔を確認し、処分を聞かなければ殺せない。まあ、明日の昼には処刑台の上だろう」