王女と繋がっている間は射精を耐え、行為後、王女が体を清めている間に処理をするというのがティキにとって当たり前の日常になり始めた日、
王女がティキの自慰を見てみたいと言い出した。
「はっ?!」 「俺がいくら舐めても、俺のナカに挿れてもイかないのはおかしい。お前、勃ちはするけど不能なんじゃないのか?」 入浴後、部屋に戻ってきて、ティキの手が白濁で汚れているのを確認してるはずなのにどうしてこんなことが言えるのか疑問だが、 王女としては自分の体でティキをイかせられないのが納得いかないらしい。 「それとも、挿れられる側か?お前」 「冗談、何で突っ込むモン持ってるのに突っ込まれて喘がなきゃいけねぇんだよ」 否定せず、いっそ嘘でも実はそうなんですと言ってみようかと思ったが、ティキはすぐにそれはやめた方がいいと考えを改めた。 挿入されて喜ぶ男なら不要だと言ってくれるかもしれないが、王女がティキがイかないことに腹を立てている今、不要と言われるよりも本当にティキに何か挿入してくる 可能性の方が高いと思ったのだ。 「じゃあ、どうしてイかない?」 「そんなの、俺の自由だろ。それとも、変態な王女様は奴隷の精液浴びて興奮したいのか?」 「当たり前だ」 「………」 王女の答えに次の言葉が出てこない。 ティキの四肢を拘束し、動けないようにしているから、王女の中で動いている自分の方がティキを襲っているという印象が強いのかもしれないが、実際は逆だ。 いや、確かにティキも襲われているような感覚に陥ることはあるが、ティキが王女の中に挿入している以上、優位なのは男であるティキの方だ。 体内で射精されれば、男女である以上子を孕んでしまう可能性があるわけだし、下賤な者との子を為すというのは、周りから聖女と呼ばれ、ちやほやされる身には とんでもない屈辱であり、恐怖のはずなのだ。今までティキが犯した王女は皆、ティキが膣内で射精することを恐れ、泣き叫んで助けを請うた。 少なくとも、自分からナカに射精してほしいと言ってくる王女はいなかった。 「そんなにナカでイってほしいんだったら、俺を殺して他の奴隷探せ。きっと、アンタの思い通りナカに汚いもんぶちまけてくれるだろうぜ、変態」 「ああそうだろうな。今までの奴隷は皆すぐにイった。お前くらいだぞ」 絶句してしまったが、まあ、予想していなかったわけではない。 引っかかりなく挿入できたし、やけに慣れているし、こんな性格なら、以前にも似たようなことをやっているだろうとは思った。 しかし、実際にそうだと知ってしまうと複雑な気分になるものだ。すでに何人も受け入れている場所に挿入させられているのだから。 仲間と一緒に女を犯す際、順番に運がなくすでに白濁で汚れた女のナカに入れることは多々あるが、その女は自ら沢山の男を受け入れているわけではない。 「イかせてくださいと言ってくるまで根元縛ってやろうか?それとも、イかないならこれを切ると脅した方がいいか?」 「好きにすりゃあいい。根元縛って脅そうがアンタの中じゃイかねぇし、大体モノを切って困るのはアンタだろ」 「それもそうか…」 じゃあ、どうすれば…と考えている王女に、一縷の望みをかけて口を開く。 「俺に主導権ってのを渡してくれるなら、イってやってもいい。性交の時、アンタが四肢を繋がれて俺の言いなりになるんだ」 普通のプライドの高い王女ならば激怒して一気にティキの首を刎ねるだろうが、この王女はプライドは高いようだが性交に関してはふしだら。 殺される、犯される、という、人が嫌がることに快楽を見出しているようだし、もしかして、と思ったのだ。 一度主導権を握ってしまえばこっちのもの。何も言わず、ティキに主導権を渡すことを想像しているらしい王女に囁く。 「………」 「まともに動けない中で奴隷に犯される。アンタにしてみりゃ美味しい条件だろ?」 「…確かに魅力はあるが、駄目だ」 王女が出した結論に、表情には出さないように失望する。とても迷っているようだったから、これはいけるかと思ったのだが、主導権は渡せないらしい。 「あっそう。じゃあ、俺はずっとアンタのナカじゃイかねぇ」 「……チッ」 気分を悪くしたのか、王女は舌打ちをして部屋から出て行った。 思い通りにならないのが嫌ならば殺してしまえばいいのに、何故生かしておくのか…… ティキには王女の考えが理解できなかった。 「要約すると、相手がイかないのが悔しいから、薬を使ってでもイかせるってこと?鬼だねー」 「あいつがイかないのが悪い」 部屋を出た王女は、そのまま城からも出、城の近くに住む薬師を訪ねていた。 薬師は王女の突然の訪問にも慣れた様子で、自分の調合の手を休めることもなく王女の相手をしている。 「だから、とりあえず媚薬作れ」 「別に良いけど、本当に使うの?相手、壊れるよ?」 薬師の言葉にむっとした王女が、フラスコの中身を熱していたアルコールランプの火を消す。薬師が「あ、」とショックを受けたような声を出したが、そんなことを気にする王女ではない。 「相手を壊す気がないなら、使わない方がいいと思うけどね」 消えた火を再び灯し、仏頂面の王女を横目で見つつ言う。 「薬師やってるとね、よく見るんだよ。媚薬使われて狂っちゃった人。大抵、使った人が後悔してどうにかしてくれって連れてくるんだけど、 治す薬なんて存在しないから。最初に、壊れても治せませんよって言うのに、たかが媚薬で大げさって考える人が殆どなんだよね。 下手したら麻薬より怖い薬なのにさ。麻薬よりも、人の人生を簡単に破壊できる薬なんだよ、媚薬って」 「………」 王女の戸惑ったような視線を感じ、薬師は調合の手を止めて王女の方を向いて笑った。 「まあ、王女様の場合、相手は奴隷だから、相手の人生狂っても問題ないけどね。もともと処刑される予定だったんなら、壊れても殺せばいいだけだしね。さて、どんな効果入れようか?男相手の媚薬は久しぶりだから、腕が鳴るよ」 「……やっぱり、作らなくていい」 媚薬に使う葉や生き物を取りだしつつ薬師が尋ねると、王女は先程までの仏頂面ではなく、叱られた子供のような顔で調合依頼の取り消しを申し出た。 「自分で、何とかする」 「そうか。まあ、それが一番いいと思うよ」 「わるかったな、調合中に」 「王女様ならいつでも歓迎だよ。構う構わないは別だけど」 「また来る」 「あ、ちょっと待って」 薬師が王女が出て行こうとするのを引きとめ、小さな袋を渡す。何かと思って王女が袋の口を開くと、いい匂いがした。 「鎮静作用のあるお茶だよ。ノアの一族なら、奴隷にされて内心悔しさで腸が煮えくり返っているのかもしれないし、お互いに落ち着いて話でもしてみたら?」 「……そうしてみる」 王女が出て行き、入れ違いでつややかな髪を頭の高いところで二つに結った少女が入ってきた。薬師は少女の顔を見てアルコールランプの火を消し、調合台から離れる。 「ユウ、来てたでしょ」 「うん」 「そのわりには、兄さん嬉しそう。何時もならユウが来た後は落ち込んでるのに」 少女の言葉に薬師は苦笑し、王女のために棚から取りだした材料を見た。 「落ち込んで入るよ。だけど、それ以上に嬉しかったからね」 「どうして?」 「親が犯した過ちを、彼が犯さなかったから」 |